第2章 No.9
(何故この部屋だけ蒸し暑いんだ?)
この階の廊下だけ廃れた窓で閉め切っているのが原因か?
いや、そもそも何故2階だけこんなしっかりした窓が付いているんだ?
「後方には異常はないか?」
先頭を切る男が後ろを見ずに仲間に話しかけた。
シィーン
しかし返事が戻ってこなく、まるで独り言のように終わった。
「おい!聞いてんのか…」
後ろを振り返ったら、そこには知らない老爺がいた。
シワシワの皮膚に数えるほどしかない歯。
「うあァっ!お、お前いつからそこに!」
まさか、この廃墟にまだ患者がいるとでも?
するとその老人は、か細い声で苦しそうに訴えてきた。
「たぁ…隊…長ぉ…か…体が……思うように…動き…ません」
そのかすかすの声には聞き覚えがあった。
信じられないが、服装は自分と同じ組織のを着ている。
(コイツ…別人のように変わっているが、
・・・・・・
今さっきまで俺の後ろにいた奴の面影がある)
いや。面影があるのではなく同一人物?
試しに名前を呼んだら、老人は小さい声で「は…い…」と答えた。
(この病院、まさか…老化させるウィルスがばらまかれているのか?!)
自分の銃を持っている手の力が抜けてきて、手の甲を見たら、皮膚がどんどんガサガサになっていた。
数ヶ月前、とある病院で殺人ウィルスがばらまかれたことで閉鎖されたとどっかで聞いたことがある!
まさか…その病院というのは…!
しかしそれは全く別件の別の場所で、真実はプロシュートのスタンド、“ザ・グレイトフル・デッド”の能力だと、彼らは知る由もないだろう。
何故なら彼らは、ただの人間だからだ。
(一刻も早くこの階から出なければ!)
階段を使おうとしたら、氷の壁で遮られていた。これでは、上がることも降りることもできない。
こんな真夏に何故こんな…!何なんだここは?!
「ぜ、全員退避!建物の外側を伝って外に出るんだ!」