第2章 No.9
「つまりなんだ、アジトを一時的に保育所にするのか?」
「そういうことだ」
真顔のリゾット対して、ホルマジオは苦笑いに変わった。
数少ない憩いの場であるアジトが、うっとうしい子供に占拠されるなんて。
プライベートにも支障をきたす。
しかもよく考えれば、食事などのガキ共の面倒を見るのも時間と金を費やす。
今回の報酬をそんなことに使っちまうのかよ…
「今もそうだが、イルーゾォの鏡の空間に入れれば問題ない。敵の襲撃も、向こうから出てくることもまず有り得ない」
イルーゾォのスタンド、“マン・イン・ザ・ミラー”は鏡の世界に入るスタンド。
そこは生物以外の無機物しかいない世界。
本体のイルーゾォの許可がない限り、誰も自力で入ることも出ることも出来ない。
監禁したり隔離するにはうってつけだ。
すると、ホルマジオはあることに気付く。
「なあ、リゾット。がきんちょを確保するなんざ、
・・・・・・・
他のチームでも、やりようによっては任せられたろ。なのに、
・・・
俺たちに任せたってことは…」
「……」
それ以上言う必要はなく、すでにリゾットとプロシュートは分かっていた。
リゾットはメッセージを見た瞬間から、今回の任務が異例だと分かっていた。
今回誘拐を起こした組織は、元々パッショーネにとって邪魔な存在であった。
最近やたら、珍しい人間を高値で売りさばいては巨額の富と力を得ていた。
パッショーネは、自分の縄張りで好き勝手されたり手柄を横取りされたこともあった。
だから今回の大事件を引き起こしてくれたおかげで皮肉にも、組織を潰す口実ができた。
これを機に、目障りな組織を微塵も残さず抹消することができる。
しかし、巻き込まれた子供は何の罪もない。
それでも関わってしまった以上、最悪の場合この手で…
・・
「その可能性も否定できない。いずれにせよ、命令が来るまで何もするな」
この時リゾットは、心の奥底にある“ある私情”を押し殺していた…
「あぁ?何だあれは?」
『!』
ホルマジオが廊下の向こう側を指差して、プロシュートとリゾットは反射的にその方向を見た。
しかしそこには何もなく、ただの薄汚い廊下が広がっているだけである。
「何だ?何もいねえぞ」
「いや!今確かに見たぜ。動物みたいな影が」
「動物?」