第2章 侵入者
「ま、マジかよ…」
たった子供一人で、普段の報酬より上額が手に入る。
その子供はちょうど、群れの真ん中あたりで怯えている。
リストに書いてある通り、白い髪と白い瞳で、作り物のような姿をしている。
同じ人間とは思えない神秘性を秘めていた。
そのあまりの美しさに、周りの子供たちが平凡に見えてしまう。
さらに状況が状況なだけに、混乱して弱々しくなっているから、余計愛くるしく見えてしまう気もする。
リストの額とアルビノの子を何度も往復する。
(確かに、こんな額付けられちゃあ、命の一つや二つは安くなっちまうなぁ)
そしてホルマジオは知っていた。
莫大な金を手に入れることは、ギャングの誰もが渇望する目標だ。
組織としては、上納金を納めれば全て良しとされて、どこで手に入れたのかという過程は問題ではない。
金という結果があればあるほど、その者に然るべき頭脳と信頼があるという証になる。
つまり、幹部の地位へとのし上がる手札になるのだ。
この内の子供の一人でも、もしうまく横流しができれば……
そんな想像をして胸が高まり、ホルマジオはつい不敵な笑みをこぼした。
「変な趣味に堕ちんなよ。ロリコン」
同じくその場にいたイルーゾォは、嘲笑いながらも忠告した。
「ケッ。ガキに欲情するほど落ちぶれちゃいねェし、そんな欲求不満じゃあねェよ」
ホルマジオは不満を漏らしながら、お互いに理解していた。
“うち”(暗殺チーム)には、うちのやり方がある。
棚からぼた餅のように手柄を横取りしたところで、何の嬉しくもない。
それに、何処の馬の骨ともしれない奴らの思惑に乗って手に入れた金を喜んで使う輩なんて、うちのチームにはいない。
矜持を捨ててまで、求めるべき大金などない。
(まぁ〜それに、
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うちのリーダーが絶対許さねえだろうしな)
イルーゾォは知っていた。
リゾットは、密輸者や汚職疑惑のある政治家など、数多くの人間の暗殺を遂行してきたが、
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子供を殺めたことは一度としてない。
だから今回、成り行きとはいえ、子供たちを誘拐犯から助けることになって、リゾット自身きっと満更でもないだろうなと、イルーゾォは勝手に想像していた。