第2章 No.9
「じゃあ、俺は2階に戻るついでにもう一度チェックしてみるぜ。さっきは子供に気を配ってたから、ゆっくりな。ホルマジオ。ガキのチェックは頼んだぞ」
「はァ?何で俺だよ?」
「今リストはてめーが持ってるからな。それに、お前の頭の方が子供受けするだろ?」
スキンヘッドは触りがいがあるだろうと言われる。
(そーゆうお前だってお下げでガキみてえな髪型じゃあねえか)
「はぁ。しょうがね~なぁ~」
「いや、ホルマジオが2階でプロシュートとギアッチョと待機しろ。イルーゾォは子供のチェックを頼む」
『!』
リゾットが口を挟んだ。
2人はリーダーの意向に素直に従い、ホルマジオは下に戻った。
「よし。ちゃっちゃと終わらせるか」
イルーゾォは1人1人をリストでこまめにチェックして、部屋の中に入れた。
リゾットはその様子を見ている。
何人かの子供がリゾットとチラリと目を合わせるが、すぐに目をそらす。
そりゃあ、ギャングのリーダーだから、貫禄もあって普通の子供はビビる。
「次のガキはNo.7。オッドアイのイタリア人。ご当地か?」
金髪の少年で、確かに眼の色が違う。左が茶色で右が碧色だ。作り物みたいだ。
(なるほど。確かにこれは美術館に飾っても儲かりそうだな。俺も初めて見たぜ)
しかし生気があるような目をしていない。当然だ。誘拐されかけたのだから。
部屋に通して、次に進む。
(No.8。一番の目玉商品。アルビノ、か)
リストには人道も何もないことが書かれている。
(人を物呼ばわりか。まあ俺たちは仕事とはいえ人殺しだ。人のこと言えるほどでもねェか。ハハッ)
「あ、あの…!!」
例のアルビノの子が突如、イルーゾォに話し掛ける。
「ああ?」
驚いて反射的に聞き返してしまった。人間離れした容姿にも、目がいってしまう。
「こ、ここで、皆、殺されるんですか……?」
マヨネーズを絞るように、声を出した。
(ただのガキが、こんな状況で平然と出来るわけねーか)
「いーや、殺すのはてめーらを誘拐した奴らだ。だが勘違いするなよ。別にお前らを助けるためじゃあねぇぜ」
少しばかりの同情に、少しだけ教えた。ややツンデレ気味に。