第6章 【閑話休題】ゆきとすず
ぐるぐると思考が巡っている、俺の動揺を察したように。
組み敷いた腕の中で、すずが涙を流しながら、無理矢理に微笑んだ。
「ゆきぃ、」
「どーした、やめるか…?」
今やめろと言われたら辛い、けれど。
すずのこんな顔を見ているのは、もっと辛い…
すずが小さく首を振ったのにそっと安堵する、己の邪さに辟易しながら、すずの言葉をじっと待つ。
その間にもじりじりと疼くから、男とは厄介なもんだな、と何処か冷めた自分がため息をつく。
「ううん、やめないでほしい…
ずっとこのままでも、いいくらい」
途轍もない殺し文句が、丸腰の下半身にびりびりと響いた。
きっとすずは違う意味で言ったのだろう、と勝手に言外の言葉を汲み取って。
心の底まで熱ばんできたのを分け与えるように、ぎゅうぎゅうと胸元にすずの頭を抱きしめる。
腕の中で苦しいよ、と小さな呻き声が聞こえてきたのを無視して、ゆるゆると腰を押し進めた。