• テキストサイズ

【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第5章 感傷主義







──────────



『春日山城は天然の要塞と言われていて、山頂に天守があるんだ。

山麓に家臣団の屋敷が建ち並んでいて、そこを中心に城下町が拡がっているんだけど…坂道を転げ落ちないようにしなよ、さん』





ほんの三十分前程の佐助くんの言葉を思い出す。
坂道くらいよゆーよゆー、と思っていたのに…


「ひ、膝が…膝が笑ってます、謙信様」



「軟弱な奴は置いていく。

日頃から鍛錬していればそのようにはならんぞ」


「ま、待ってー!!」



下り坂とは思いのほかきつい。
それが整備されてない山道となれば、尚更…
春日山城はそれはそれは広大で、城からでなくても日常生活は事足りる。
連れてきてもらった時は気絶してたらしいし…
思えば、初めて城下に下るのだ。


中腹から見上げた天守の荘厳さは目を見張る程だったけれど、そこからが長かった…
もうすぐだ、弱音を吐くな、と何度言われたか。
全然もうすぐじゃない!という言葉を飲み込み、また足を進める。



/ 258ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp