第5章 感傷主義
酷いご都合主義だ、と佐助くんが突っ込んでくれる。
現代人同士だとさくさく話が進むな、と久々の感覚に感動しつつ。
「謙信様、私の事をどう思ってるんだろうねぇ…今日もどうなるものか!きゃー!」
「…えーっと、さんはどうしたいの?」
私が頬を染めているのを気にもとめず。
佐助くんの突然の、しかし当然の、鋭い問いかけに思わず言葉が詰まる。
さて、どう答えたものか…?
そこでタイミング良く、襖の向こうからお呼びがかかる。
「はいないか」
「あ、はーいっ!ただいまーっ!」
「…答えが見つかる、素敵なデートになるといいね」
こっそり胸を撫で下ろした私に、佐助くんのイヤミ混じりの激励がかけられる。
おうっ、と握りこぶしで応えながら。
戦に向かうような心持ちで、襖を開ける…
「お待たせしましたっ、謙信様!今日は宜しくお願いします」
「全くだ…行くぞ、」
今日は前々からお約束の、それはもう待ちに待ちすぎた、謙信様プレゼンツの城下デートなのだから!