第5章 感傷主義
「さて、ここで状態を整理してみましょう」
「俺…?
いいけど、信玄様とかの方が、恋の相談相手にはいいんじゃ」
さながら、教壇に立つ教師の気分で。
反論は受け付けない、と一蹴。
観念したらしい佐助くんが大人しく口を閉じたのを待って、代わりに口を開く。
「謙信様は私の事を、少なくとも憎からず思っているはず!
ここまで宜しいでしょうか」
「…それは、そうだろうなと思うよ」
「この前、ふわさらっと手を繋いでくれたけど…
恐らくあれは、頭より身体が先に動いた感じかと。
私がいつもより沈んで見えたから、咄嗟に手を引いてくれたか、もしくは」
「歩みが遅いのに苛立ったか、かな」
「あぁー有り得るー!!それだと辛い!
だからその可能性はひとまず除外ね!」