第4章 刹那主義
「躾がなっていないな、他の男の前で寝顔を晒すなど」
夢の中に、きらきらと煌めくように。
低く、心地よい声が、眠っている私へと降ってくる。
「、お前は俺のものだろう」
問いかけるような、その実、答えを分かっていて確認するだけの。
確信に満ちた声色に、眠りの淵から必死に首を擡げ、応える。
「そう、です」
「良い返事だ、その言葉忘れるな。
…俺も、忘れないでいるとしよう」
満足気な声と共に、私を抱える暖かく力強い腕。
だらり、と身を任せるしか出来なくて、目も開けられない。
反対に、縋りつかれているような、甘えられているような気になるのは自惚れなのか…
俺のモノってどーいう意味ですか?
私の良いように取って大丈夫ですか?
私が好きだ、という度に、呆れ混じりの悪態をつきながらも、
何かを思い出すように優しく笑う目線の先は、
私であって、私じゃ無いのではないですか――