第4章 刹那主義
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「さん」
どれくらい、そこにそうしていただろうか。
佐助くんに声をかけられて、はっと我に返る。
「…佐助くん」
佐助くんは隣に立って、一緒に目を閉じてくれた。
暫くそうやって並んで頭を下げて…
そして、もう行こうか、と肩を叩いてくれる。
「佐助くん…さっきの、伊勢さん、って知ってる?」
「…もう亡くなっている、とは聞いている。
それ以上は知らないんだ、俺が謙信様と出会う前の話らしいから」
その言い方だと『何か知ってる、けど言いにくい』感じだよね…
と、内心思いつつ。
言えない事を無理やり聞き出してもな、と引き下がる。
「謙信様の居室には何も無いようだった。
仕切り直しだね」
「おーっと?そうなると…
探す範囲すーっごく広くなるね」