第1章 享楽主義
途端にぶわり、と漏れて溢れる光の渦。
驚いて声も出ない私を、細かな光の粒子が包んでいく。
これは、話のネタとしては十分すぎる…!
根っからの営業マン根性むなしく、しゅるしゅると光が収束していくのに目が眩む。
ぎゅっと強く目を閉じ、次の瞬間、不思議な浮遊感に恐る恐る目を開ける…
「えっ…は、はぁっ!!?」
目を開けるとよく物語にありがちな、ふよふよと異世界の空に浮いている…なんて可愛いものじゃなかった。
私は何故か吹き荒ぶ風の中、真っ直ぐ猛スピードで急降下している。
落ちる先が見えない程の漆黒の闇に、ぞわり、と背筋が凍る。
身体を取り巻く光の粒が、今の状況に似つかわしくないほど綺麗で。
ありえない状況が、余計に怖い。
そして、何より…
「飲みすぎで…ぎもちわるいっ…!!」
吐瀉物塗れの最期なんてやだな、そんな馬鹿げたことを考えながら、私は意識を飛ばした――