第4章 刹那主義
「…今のって、アニメとかでよく見るヤツ…?」
「流石は精鋭集団、軒猿。遊びでも手を抜かない」
廊下の先によくよく目を凝らしてみると、あちらこちらに矢が突き刺さっている。
他にも床板が何枚か無かったり、天井から獲物を取り損ねた獣網がぶら下がっていたり…
「…謙信様達も、ここを通って行ったんだねぇ」
勿論全てを難なく抜けていったのだろう、身のこなし軽く…
さぞ格好良かったに違いない、と改めてコンビの組み合わせに内心、異を唱えてはみた、ものの。
「さん、そこ。屈みながら通り抜けて」
「な、なんか頭の上に煙が流れたんだけど!?」
「目潰しだね。当たらなくて良かった…と。
ちょっと止まって、下を見て」
「…なんか、てかてかしてる…」
「多分、油か蝋だと思う。
…転ばせようとでもしてるのかな」
淡々とトラップを潰しつつ、私のフォローまでする佐助くん。
謙信様と組んでいたら…ずんずん一人で進んでって、後ろでじたばたする私は足でまといだ、なんて言われてたかも知れない。
そう、昔の歌謡曲でも言ってたじゃないか…会えない時間が愛を育てるんだって!
「佐助くんで良かったと言わざるを得ないっ…
ひゃー…!!」
「そこの床板抜けるかも…って遅かったか。
ごめん、さん」