第4章 刹那主義
断言されてはそれ以上突っかかる気もないらしく、謙信様は渋々と言った様子で黙り込んだ。
ヒヤヒヤするやり取りを経て、信玄様は書棚から紙を取り出すと。
文机に置かれていた筆で、さらさらと何かを書いた。
「目当ての宝には、俺の家紋…武田菱を押しておいた。
これがそうだから、には見本としてあげよう」
「わぁ、ありがとうございます!」
武田の田、が斜めになったような、四つ並んだ菱形の書かれた「ある物」を探す。
広大な城内だ、上から下まで歩いただけでもそこそこの運動になりそう…
そんな憂い目に気付いたのか、信玄様はまたにっこりと、満面の笑みを浮かべる。
「とは言え、宛もなく探すのも無理がある。
探すのは俺達が常に持っていて、しかし、常に欲している物だ、とだけ言っておこう…
それじゃ、幸運を祈る」