第3章 耽美主義
「…ふふ、どうでしょう。
案外、今回こそは本当に悲しんでいたかも知れませんよ?
それに、大好きな人と逢瀬をする為なら…
女子は、手段を問わないのですよ!」
それがテクニックなのかたまたまなのか、明かしてしまっては面白くないだろうから曖昧に笑う。
食えん女だ、そんな最高の褒め言葉を肴にもう一杯…
今日の大好き、は受け流された。
でも、明日は俺もだ、って返してくれるかも!
今日のお酒はよく進むな、と、さっきとは打って変わって上機嫌になりながら。
そんなおよそ想像のつかない妄想に笑う私を、謙信様は相変わらず優しい目で見つめていた。