第3章 耽美主義
その言葉にむぅ、と恨みがましく睨みあげてみると。
謙信様は片手で盃を掲げたまま、口元に弧を描き。
また空いた方の手で、私の肩にある信玄様の手をぱしん、とはたき落とす。
そしてそのまま、手を下ろした先に居た小兎の後ろ首をつまみ上げると、私の膝の上にそっと置いた。
「獣同士、仲良くしていろ」
兎も私も、きょとん、とした様に目を真ん丸くして見つめ合う。
私にとって兎は可愛い、だからいいけど…この子にとっては果たしてどうか。
愛くるしい動作に癒されながら、酔っ払いはそんな事にすら噛みつきたくなる。
「あ、ありがとうございます…うーん、私も犬ではなくて…
せめて、兎になりたいものです」