第18章 月の兎は冬に焦がれる
「ところで、。
随分と余裕があるらしい」
「へっ、いや、あのっ…!!
…っ、ん、そんな事っ」
「あるだろう。
褥の中で、他の男の名を呼ぶからには」
謙信様の長い指が、私の好い部分を擽る。
もう少しで光秀さんは元気ですかね、なんて口走ってしまう所だった…
火に油を注ぐ寸前だったか、とゾッとした所で、謙信様は私の身体の上を彷徨っていた手を急に止め。
胡座をかいて座ると徐ろに私の手を引き、足の間に座らせた。
後ろから抱えるような姿勢に恥じらう暇もなく、また自由自在に悪戯な手が動き出す。
「まあ、いい。
止めることはしない、自由に振舞うお前が愛らしいのだから。
擦り寄ってくる、あの兎達の様に」
「あ、ぅ、じゃあこの意地悪な触り方は何ですかっ…!!」
背裏から、耳にダイレクトに注ぎ込まれる低い声。
それだけでふるり、と身体が震えるのが恥ずかしくて、思わず目を閉じる。
「これは仕置だ。
許したとは言え、心は別だろう」
「や、そんなのっ、はぅっ…!!
っあ、謙信様、そういえばっ、」