第17章 利己主義
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カチン、といつも通りの鞘音を立てて、謙信様が刀を仕舞う。
私のせいで、と目の前が真っ暗になる…
迷惑をかけただけじゃ足りず、謙信様の大事な刀まで──
「あの、謙信様…あんなに姫鶴を大事にしてらしたのに、」
「しかし、を護れた」
謝ろうとしたのを遮られて、息を呑む。
目を合わせると、それだけで泣いてしまいそうな程の優しい視線を向けられ。
どぎまぎと目を逸らすけれど、勿体なくなってすぐに元に戻す…
「刀はまた打てば良いのだ。
には、換えがない。
お前が代わりで良いなどと言っても、俺はよくない」
ゆっくりと、まるで幼子に諭すように。
そんな風に言ってくれるから、堪えた筈の涙がまた溢れてきた。