第17章 利己主義
「ちょっと!何してくれてんのよ!!」
「だってー、歴史を正すって言うなら、鞠さんも帰るべきでしょ?」
「そんなっ…そんな事っ!!」
にっこり笑いかけてみせると、掴んでいた私の胸元をどん、と押して鞠さんは駆け出した。
そしてそのままの勢いで、風の壁を突っ切ろうとする…
しかし煽られて、弾き飛ばされた。
目を開けているのもやっとの程の風に、しゃがみ込む。
鞠さんは諦め悪く、抜け道が無いかと歩いては、巻きあがる風に煽られ転んでいる。
「鞠さん、危ないですよー…?」
「うるさいっ!アンタ、許さないからっ…!
信長様ぁっ!!」
助けを求めて鞠さんは大声を上げるけれど、虚しくも全部風に呑まれるだけ。
「信長様っ、助けてぇっ!!」
「…鞠さん、」
「いつもそうやって澄まして、余裕ぶって…!
だからアンタなんて、だいっきらいよ!
私は絶対帰らないんだからね、あんな世界はもうイヤっ!!」