第17章 利己主義
「まーりさんっ」
「…なぁに?命乞いなら、聞かないんだから…」
「まさかそんな…ねぇ?」
先程までとは逆に、するり、と腕に絡みつく。
そんな私に驚き、鞠さんが声を上げるよりも早く…
「一緒に帰りましょー、ねっ!!」
「きゃあっ…!!!」
絡みついた腕に全力を込めて。
自身もろとも、鞠さんと共に、三門の敷居をよろめく様に超えた。
──途端、音を立てて吹き荒れ出す風が、外界との間に壁の様に立ちはだかる。
成程、歴史を修正するために動くとはこの事か…
そんな冷静な私とは違って、半狂乱状態の鞠さんが私の胸ぐらを掴み、揺さぶる。