第17章 利己主義
橋の床板が、私の心持ちのようにぎしり、と軋む。
寺の三門まであと数メートル、という所で足を止めた。
門の此方と彼処はまるで別世界だ。
天候がくっきりと分かれていて、彼処はすっかり荒れ模様…
「じゃあね、ちゃん。
私は危ないからこの辺で戻るわ…元の世で、頑張ってね」
鞠さんがヒラヒラと手を振り、身を翻す。
彼女は、営業をしていた時とっても慎重派だった。
決済金が入ろうが、捺印が済んでいようが、契約の履行までは油断しちゃダメよ…
そんな風に教えてくれたっけ。
そして、今も…
三門ギリギリまで、私が逃げ出さないか見張っていたのだろう──