• テキストサイズ

【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第17章 利己主義







橋の床板が、私の心持ちのようにぎしり、と軋む。
寺の三門まであと数メートル、という所で足を止めた。
門の此方と彼処はまるで別世界だ。
天候がくっきりと分かれていて、彼処はすっかり荒れ模様…



「じゃあね、ちゃん。

私は危ないからこの辺で戻るわ…元の世で、頑張ってね」



鞠さんがヒラヒラと手を振り、身を翻す。



彼女は、営業をしていた時とっても慎重派だった。
決済金が入ろうが、捺印が済んでいようが、契約の履行までは油断しちゃダメよ…
そんな風に教えてくれたっけ。





そして、今も…
三門ギリギリまで、私が逃げ出さないか見張っていたのだろう──





/ 258ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp