第2章 主情主義
私は手に持った杯を、幸村のそれにかちん、とぶつけた。
盆の上に、ぽとり、と滴が落ちる。
「なら、仲良しの印に」
「だ、誰と誰が!」
「あーあ、私もゆっきーとズッ友になりたいなぁ」
「だー!ったく、恥ずかしいことを平気で言うなよ!!」
幸村は照れ隠しだろうか、ぐい、と一気に盃を持ち上げ煽った。
飲みやすいけど度数の強いお酒に、一気に真っ赤になった顔。
これは皆が可愛がりたくなる気持ちもわかる、と…信玄様の愛でようを思い浮かべる。
「わお、いける口だね!ささ、もう一杯」
「…ああ…お前も呑めよ。
俺を付き合わせんだから、覚悟しろよな」
「お?挑んじゃう?ふふ、負けないよー!」
こうして騒いでいたら謙信様が来てくれないかな、なんて。
自分の乙女加減に辟易しながら、示し合わせたように同時にくい、と盃を傾ける。
どうやら本当にズッ友になれたのか、はたまた回り出したアルコールのせいか…
女の私より余程素直で可愛い幸村と顔を見合わせて、げらげら笑いながら。
お酒を酌み交わす夜は、まだまだ続くのだった――