第2章 主情主義
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「…やっぱ、顔かなぁ」
いくら考えても、一言で表すならそれに尽きるな、と。
しみじみ呟いた私に、幸村は何度目かのため息をつきながら、お酒を注いでくれた。
「顔なら、いつか飽きちまうんじゃねーの」
「今のところ、その予定はないなぁ…
それより、幸村。お猪口が空いてますね?」
「待て、俺はいいっ…」
「まぁまぁ、そう言わずに!たまにはいいじゃない!」
そもそも二つ用意してきたならそういう事でしょ、と。
空いたお猪口に満タンにお酒を注ぐ。
表面張力でふよふよと揺れる水面に、幸村がお前なぁ、と呆れた声を上げた。
「幸村、まさかお酒弱いの?」
「…ちげーよ」
「私の注いだお酒なんて、飲みたくないと?」
「んな事、言ってねー」