第15章 行動主義
「…でも私は、諦めが悪いのですよ。
それでもって、欲張りでもあります」
謙信様は、ひんやりと冷たいけれど。
その熱い指が、瞳が私を捉えて離さない。
何も言ってくれない癖に、放してくれないんだもの…だから。
要らないと、はっきり言われるまでは縋りたい。
たとえ身体だけでも、必要とされたい。
心を殺してでも、傍に居たい。
兎の様に他心無く、損得抜きで、ただただ愛でられたい──
「鞠さんと仲直りしたいし、謙信様とももっと仲良くなりたいのですよね!
光秀さんにはご迷惑お掛けしますが、頼りにしてますっ」
…本当の願いは真逆だなんて、口が裂けても言えないけれど、と自嘲して。
「そしてね、全てが終わっても…
光秀さんとは是非、仲の良いお友達でいたいものです」
なんとも複雑な表情でこちらを見ている、光秀さんに笑いかけると。
光秀さんも少し間をあけたけれど、ぎこちなく微笑んでくれた。
「何とも、強欲だな」
「そう、辛抱強く諦めが悪い…それが、営業マン魂っ!」
「えいぎょう、まん?」
私と鞠さんが就いていた、先の世の職業の名前だと説明すると。
確かに鞠もそういった気がある…と、漸く光秀さんは心底からの笑みを浮かべた。