第2章 主情主義
まるで、話に置いてきぼりにされた子供のような。
むっすりと臍を曲げたような言い方に、憮然とした表情に、思わず吹き出す。
刀を仕舞いながら何が面白い、と、こちらを睨む謙信様に、笑いをなんとか噛み殺す。
これまで培ってきた営業スキルやらなんやらも、きっと通用しない。
常識や概念が、音を立てて崩れ落ちていくのを感じながら。
「あー…ふふ、面白すぎる…!
私、謙信様の事が大好きになってしまいました」
ごくごく自然に、まるで零れ出たかのように、そんな風に私が呟いたのを。
今まで散々クールに決めていた二人が、揃いも揃ってぎょっと目を見開き見つめていた顔は忘れられない――