第15章 行動主義
「また留守は任す。
半刻後に出るぞ、佐助」
視線を、会話を避けて平気でいれたのは…
この手が届く場所に在ればこそなのだと、離れて漸く気付く。
想像もつかないほど狼狽しているらしい、逸る心の臓を落ち着けようと深呼吸を一つする。
秋が暮れ沈み行く空を見つめながら、しかし時間のことなど、この際些末な問題だ。
そしてほんの一瞬胸に過ぎる…
もし、彼奴が望んで出て行ったのだとしたら、と。
「それでも…は、俺の物だ」
あの夜のの言葉がじわり、と染み入るように思い出される。
それだけでいいなんて甘い考えは、此処に捨てる。
…なんとしても、心ごと取り戻すのだと。
呆れるほど自分本位な決意を、夕の風に飲まれるほどの声で呟くのだった。