第15章 行動主義
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一昼夜馬を駆り、春日山城へと辿り着いた時には既に、出立してからまる二日が経っていた。
残っていた信玄と幸村は、なかなか起きてこないの身を案じていたものの…
最近が塞ぎがちであったのを鑑みて、暫く様子見に放置してしまったらしい。
そうして、その不在に気付いたのは昨日の昼下がりだった。
俺と佐助に報せるための使いを放っていたらしいが、入れ違いになったのか…
遅かれ早かれ、戻ることになっていたのだろうと分かっていながらも。
沈痛な面持ちの二人を、やり場のない怒りで睨みつける。
踏み入った部屋には、やはりの気配はない──
しかし、室内の探索を始めてすぐ。
佐助がある物を見つけ、声を上げた…
「…これは、まずいな」
「なんだ、勿体ぶるな。要点をさっさと言え」
急がないと、手遅れになるかも知れない──
そう言う佐助の手には、俺には読めない文字の連なる書状。
「佐助、手遅れとは…?」
「信玄様…さんに、二度と会えなくなるかも知れません」
「なっ…んだよそれ、何処のどいつの仕業だ!?」
俄に、その場に立つ全員が色めき立つ。
俺も、例に漏れず…そんな事は許されないのだ、と自分に言い聞かせ。
咎めるような信玄の目を睨み返し、急いで踵を返す。