第15章 行動主義
「…くく、覚えがあるようだ。
案外厭らしいな、」
どうやら、その逆に光秀さんに顔色を読まれていたらしいと気付き。
不可抗力で赤く染った顔を隠すように、俯く。
「もうっ…そんな冗談を言う方が余程厭らしいですよねっ!」
「はは、違いない。
そろそろ普通の宿屋、を探して部屋を取るとしよう」
珍しく声を上げて笑った光秀さんを、恨みがましく睨みながら。
冗談で良かった、とそっと胸を撫で下ろす。
こんなに良くしてくれている人を、少しでも疑うなんて、と。
自分の小ささに嫌気がさす…
「わぁ、よかった!
丁度お腹が空いて困っていたのですよー」
「…色気より食い気、とは上手く言ったものだな」
こちらを見て、わざとらしく溜息をつき。
笑う光秀さんを、意地悪、と睨み上げる。
そして心の中で、こんなのでも女扱いして抱いてくれる物好きだっているんだもん、と毒づいてみる…
ただしあくまで代わりだけど、なんて繋げてしまったせいで、また無駄に落ち込む羽目になるのだった。