第15章 行動主義
そうかも知れないな、と微笑む、光秀さんの柔らかな視線がこちらを向く。
甘い微笑みが、日差しに溶けて私だけに注がれる。
相手を間違ってはいませんか、なんて不粋なことを言いかけて、自分のためにやめておく。
光秀さんはとっても、優しい。
きっと彼の行いや気持ちに嘘はないのだ、けれど。
私は、弁えないといけない。
彼の気持ちは、鞠さんに届かなくて行き場を失っていたのだから。
本来、私に向けられる物じゃない…
どうしたって喜べないその事実を、奥歯でぎり、と噛み締める。
そう言えば、謙信様は今頃どうしているだろう。
小競り合いだ、なんていつも通り強気だったけれど…
よもや、危ない目にあっていないだろうか?
代わりだっていいから、あなたの傍に居たいと。
離れているとやっぱり強く願ってしまうのだから、全く私も学習能力がない──