第15章 行動主義
よーいせ、よーいせ、と威勢の良い漕ぎ手さん達の声に合わせて、船は波を切り進む。
日本海特有の、打ち寄せるような白浪を楽しみながら。
身を乗り出していると、危ないぞ、と幼子にするように首根っこを掴まれた。
「凄いですねぇ、海です!」
「お前達の世にも、当然海はあるのだろう?」
「勿論あります…でも、なんて言うんだろ。
多分こんなに広くないし、青くない…気がする」
「こんな旅路など、一瞬で終わってしまうのだろうな」
「…ああ、その通りです。だから綺麗に見えるのかな」
謙信様と見たいな、謙信様ならこの海を見てなんて言うだろう。
ああでも昼の光の下ってより、月明かりがサラサラと零れる夜の海がいい。
月が映る水面を二人で眺めたい…夜に甲板に出てイメトレしなきゃ、なんて。
隣にいてくれる存在を置き去りにして、随分な妄想を捗らせている自分に辟易しつつ。
実際に謙信様が隣にいたら、そんなテンションじゃ居れないくせに、と自嘲する。
「達の生まれた世を、一度見てみたいものだ」
「ふふ、びっくりしますよ!
でも、私もこちらに来て驚く事沢山あったから…
きっと、お互い様です」