第14章 自由主義
「何とある?」
「えーと…光秀さんは、鞠さんから内容について何も聞いてないのですか?」
「ああ、聞いていないな。
…ただ、必ず本人に渡してほしい、と。
それだけだ」
此処の人には読めないと、分かっているのに。
佐助くんが読む事でも恐れたのだろうか…?
そして、ただの小間使いじゃなくて、わざわざ光秀さんを寄越した訳──
「一週間後、本能寺で会いましょう、だって」
「…鞠が、お前にか?」
「ふふ、そーです。
お呼ばれしちゃったみたいだけど…さて、どうやって行くかな」
安土まではこの前行ったけど…
京都となれば更にその向こうだ。
私に行けるのかな、と道程を思い出す。
そんな私を見つめながら、光秀さんもまた何かを考えている様子だ。
目が合うと、光秀さんは珍しく、所在なく視線を彷徨わせ。
そして、ゆっくりと口を開く。