第14章 自由主義
「ちょっとっ、何してるんですかっ…!!」
「随分と積極的な事だ、自ら褥に招き入れるとは」
「もう、何をのんきな…!
見つかったらどうなるかっ、」
私の焦りとは裏腹に、光秀さんはあくまで余裕の笑みを崩さない。
幾ら同盟国の武将様とは言え、潜入するなんて許されないだろう。
彼は、命の恩人なのだ…やきもきとした気持ちで詰め寄る。
「嬉しいが、心配は無用だ。
間謀が生業だと言っただろう…とは言え、こんな無茶はあまりしないのだが。
頼まれ物を預かってきている。
鞠からに、必ず明日までに渡すようにと」
あの小娘も無理難題ばかりを言う、と…言葉とは反対に、優しく零しながら。
光秀さんが背負っていた書簡包から取り出した、手紙を受け取る。
『ちゃんへ』なんて白々しい題目に、彼女の気持ちが伝わってくるようで溜息を吐きながら、折り畳まれた紙を解いていく。
久々に見た元の世の文字は読みやすく。
スラスラと頭の中に内容が入ってきて…しかし、その突拍子の無さに頭を抱えたくなる。