第2章 主情主義
佐助くんの答えに何処か満足気な謙信様は、こちらに向き直ると。
、と私の名前を確かめるように小さく呼んだ。
職業柄、色んな人に会ってきたけれど…
どんなお金持ちより、どこの偉い人よりも、ずっと威厳や深みを感じる声色。
服従以外考えられなくなる様な、射抜かれるような目線。
思わず背筋が伸びる心地で、はい、と返事をする。
「、佐助の申し出通りお前が春日山に滞在することを許可する。
だが、覚えておけ。
この上杉謙信に仇なすことは、即ちの死を意味すると」
上杉謙信。
義務教育を受けていたら誰でも知っている、ビッグネームに驚きを通り越して高揚を感じる。
何がどうなってるかは分からないけれど、私が知っている歴史上のあの人物で間違いないのだ、と確信めいた予感。
「よかった…謙信様、有難うございます。
さん、俺と君とは…先程謙信様が言った通り、同郷なんだ。
君の身に起きたことも、大方察しがついている。
後でまた説明するから、」