第13章 反証主義
「何もおかしく無いってば…
相変わらず私は謙信様のことが、好き、で。
相手にされなくても毎日頑張ってます!
って言わせんな!」
「だー、お前が勝手に言ったんだろうが!
俺らが言いたいのはそんな事じゃなくてっ、」
「…姫」
幸村から庇うように、信玄様が優しく腕をとり。
しかし空いた手で顎を掬われ、やんわりと逃げ場を奪われる。
顎クイ、だと…!
難易度が高い技を繰り出してくるイケメンに、あわあわと目を逸らす。
「幸村が粗暴な真似をして済まなかった。
後でちゃんと言って聞かせておこう」
「大丈夫です、信玄様!
だからちょっと、離れて下さい…ち、近いっ」
「皆、の事が心配なんだ。
分かるだろう…?」
「ひやっ、耳元で喋らないでっ…!
分かってますけど、別に何も!ほんとに無いんですよー!」
ここぞとばかりに引っ付いてんな、なんて幸村の呟きが聞こえる。
分かってるなら引き離してよ、と。
爆発しそうな心臓を押さえ、ぎゅっと目を閉じる…