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【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第13章 反証主義






幸村は気まずげに目を逸らしながら、しかし興味があるようでその場に留まったまま。
佐助くんは何も言わないけれど、眼鏡のレンズだけきらり、と光る。
その言葉に言いたい事、聞いて欲しいことがぐるぐると頭を巡る、けれど──




「進展、とは?私と謙信様は、別に何も」



努めて普通な風に、そう言うと。
三人が三人とも、信じられないとでも言いたげな表情を浮かべた。



「な、何も無いなんてねーだろ…

あれだけ血相変えて飛び出してったんだぞ?」


「わあ、それは嬉しい!

うーん、安土デートはしたけど」


「でーと…逢瀬の事だったかな」



「その通りです、信玄様!

ほら、今着てる小袖も買ってもらったんですよー!
謙信様のお見立てでっ」




まあ、あの夜着ていた小袖はめっちゃくちゃになってしまったから致し方無くだけど…
なんて、心の中で呟く。
佐助くんが小さく残念、と零したのが聞こえて。
尽力してくれたのにごめんね、と心の中で返した。



「…謙信様も意外とヘタレなのかな」
「あ?なんだよ、ヘタレって」


「うーん…意気地無し、って意味」
「佐助、お前…相変わらず怖いもの知らずだな」




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