第13章 反証主義
「よくぞ無事で戻ったな、俺の天女!」
「信玄様!ご心配お掛けしました」
「全くだぜ。心配かけやがって」
「心配してくれてたのー、幸村!ありがとっ」
「なっ…!!
…ったく、あったりまえだろーが…!」
「幸、流石ツンデレの鏡。
…すまなかった、さん。
まさかあんな事になるとは」
「ううん、私も予想してなかったよ。
それより佐助くんは大丈夫?懲罰房に入ってたって…」
「元より、三日の謹慎だと言われてたから。
…実際は、ゆっくり休めるようにって気遣いなんだ。
ばれてないと思ってるんだろうけどね」
佐助くんは僅かに口元を緩め、眼鏡のフレームを上げた。
小声でくすくすと笑い合う私たちを冷たい目で一瞥し、謙信様はすたすたと自室へ戻っていく。
その背が角の向こうへ見えなくなってから…
信玄様に、まるで逃がさないとでも言いたげに、がっしりと肩を組まれた。
「…で、?
謙信と、何か進展はあったかな」