第13章 反証主義
「!!」
優しく温かい声が聞こえ、馬上の私は謙信様の背中から向こうを覗く。
見慣れた顔が並んでいるのに、ようやく戻ってこれたんだ…と、安堵の息を漏らした。
「信玄様ー!幸村ー!!
…あっ、佐助くんもーっっ!!!」
声を張り上げ手を振ると、謙信様は見計らったように手網を振るい。
馬の速度が急に上がる。
「わっ、わ…!!」
「だから、しっかり掴まっておけと言っただろう?」
意地悪、とじっとり睨んでみると。
謙信様の横顔が、薄い笑みを浮かべた。
嬉しい筈のその笑顔が、何処か寂しくて。
言われた通りに、腰に回していた腕にぎゅっと力を込める──