第12章 合理主義
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「──っ…!!!!」
掠れた喉で、声にならない叫びを上げて。
腕の中の女は途端に力を無くし、くずおれた。
意識を飛ばす前の、最後の強張りに全てを持っていかれ…
その上に被さるように崩れ落ちる。
荒れた呼吸を整えるしばしの間にも、身じろぎ一つしない事に不安になり、覗き込む。
痛々しげに歪んだ表情、しかし深く寝息を立てていることに安心し。
萎えてしまった自身を引き抜いて、その身を褥の綺麗な部分に横たえてやる。
──無理もない、ああも何度も責め立てては。
連れ込みに入った時には夕刻だったと記憶しているが、開けてみた障子の向こうは既に月が高く昇っていた。
射し込んできた月明かりに照らされる女の身には、俺が付けた鮮朱の痕が色濃く残る。
妙に誇らしい気持ちになり、暫く障子は開け放って置くことにする。
「なんとも愚かなものだ…
俺も、こんな俺に良い様にされるお前も」