第11章 現実主義
「冗談だ。
お前に居座られては、鞠の機嫌が戻らんからな。
御館様もさぞ難儀している事だろう」
「そうですよっ…!もー、やだな冗談ばっかりっ」
「ところで、七両はお前の世界でどの程度の価値がある」
「えっ…七両、ですか?ちょ、ちょっと待ってくださいね」
確か、一文が25円位だって佐助くんが言ってたから…
お酒一升で大体150文なんだよね、そう考えると現代とそう変わらないのかもって思ったんだった…
4000文で一両とも言ってたし、そう考えると一両は単純計算で十万円…
「えーっと…すごい価値です。
二、三ヶ月必死に働いて稼げるくらいの額…かな?」
「それが馬一頭の平均的な値だ。
謙信殿に大層な借りができたな」
「ま…マジで!?」
開いた口が塞がらない、とはこの事か。
先程光秀さんが言ったように馬を乗り継いでくれているとすれば、物凄いお金が動いている事になる…!!
あわあわと言葉を失う私を、光秀さんが意地の悪い笑みを浮かべて見つめている…
そこに、ばたばたと荒々しく、慌てふためいた様子の足音が聞こえてきた。