第11章 現実主義
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遅めの朝食も終わり、満腹のお腹を擦りながらふぅ、と息をつく。
光秀さんは今日は私の見張り、という名目でお休みだとか。
政務にも差し支えるだろうから、早く出て行ってあげたいけれどそうもいかないらしい…
とは言え、光秀さんは随分と上機嫌のようだった。
クールな印象とは裏腹に、好奇心からか爛々と輝くこどものような瞳。
私は先程から、質問攻めに合っている。
「では、お前達がいた五百年後の世では夜が無いのか」
「わぁ、詩的な表現ですね。
昼夜の区別は勿論ありますけど、電灯って物がいつでも煌々と光ってて、夜道も明るいんですよ」
「そのように便利な世から来たのであれば、さぞ此処は不便だろう」
「不便…は、不便ですけど。
無いなら無いなりにやって行けるもんだなーって!
勿論、皆さんに助けて貰わないと無理ですが」
「…戻りたいとは思わないのか?
鞠は初めの頃、泣いてばかりいた。
彼奴は戻りたいと、決して口にしなかったが」