第11章 現実主義
「…さあ、食べるか」
「わあ、ありがとうございます!いただきまーすっ!」
私がぱちん、と手を合わせ頭を下げている間に。
光秀さんは目の前にあった煮物を汁ごとご飯にぶっかけ、焼き魚の身を解すとちょん、とその上に置き。
更に湯気を立てる味噌汁を回しかけると、彩りのつもりだろうか、天辺に紅色の漬物を乗っけた。
「わ、あ?斬新…?」
「この食べ方が、一番効率的だからな」
「なるほど…でもわかります!
ねこまんまは食べるの楽だし、何より美味しいですよねっ」
光秀さんは食事のルールなんて気にしないタイプなんだな、と。
私もほかほかご飯に、味噌汁を回しかける。
そしてさらり、とひと口かき込んだ。
「へえ、やっぱり越後のお味噌とは違うんですねー!
はんなりお出汁味!」
「…お前、」
光秀さんは驚いたように、ぱちり、と幾度か瞬きをした。
やはり不味かったか、と箸を構えた姿勢のまま凍りつく…
そんな私にふふ、と小さく笑うと、光秀さんも椀を持ち、大きく一口かき込む。
それを見て漸く安心した私も、ずず、と味噌汁を啜るのだった。