第7章 実利主義
──────────
やっと階段の終わりが見えてきた。
息をつく暇もなく、長い廊下を奥へ奥へ…
最上階は、それまでとは全く趣が違った。
豪華なのは今まで通りだけれど、どこかピリピリとしたムードが漂う。
襖に描かれた鬼に、ぴしゃりと金箔の雷が落ちるおどろおどろしい絵のせいなのか。
はたまた、この奥に揃っているという武将達が放つオーラなのか…
いったい何処で得た情報なのか、今日の軍議はお目当ての姫様も参加なのだ、と。
登城する前に、佐助くんは教えてくれた。
堂々としていれば誰に何を言われることも無いよ、と言われた通り。
威勢が良いのが取り柄…我が物顔で歩いていたら、誰にも声をかけられずにここまで来れた。
警備がガバガバなのか?
お殿様が能天気なのか?
色々考えていたけれど、この雰囲気で分かる。
きっと、何者も恐れていないのだ、と──
謙信様に初めて会った時のような、畏怖のような身震いを一つして。
失礼します、と女中頭さんが先頭で声を発したのに、思わず背筋がピンと伸びる。