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【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第7章 実利主義





春日山を下ってすぐ、海沿いを駆け抜けた。
聞けば日本海だ、と佐助くんは言う。
沿岸を経て日本アルプスの尾根を見上げながら、内陸へと下がり。
海かと思えば見えてきたのは、かの有名な琵琶湖らしい。


波の立たない湖面を見ながら、遠くへ来たんだ、と感慨に耽る。
謙信様はどうしているだろうか、心配してくれているだろうか。
はたまた、厄介な顔が見えなくなってせいせいしているだろうか。


心配して欲しい、なんて、思い上がりも甚だしい──




「それで、安土に着いたら早速なんだけど、さんに頼みたいことがある。

…いいだろうか?」


「もちろん、その為に着いてきたんだもん!」
「君の目指す信頼と実績には程遠い、野暮用なんだけどな」


「…そこは、ほら。

謙信様に報告する佐助くんのお気持ち次第でしょ?」



そう言ってにやり、と笑ってみせる。
いつも無表情ぎみな佐助くんなのに、ほんの少し振り返って、私の無茶振りに困ったように眉根を顰めたのだった。


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