第7章 実利主義
「…で?目指す安土城ってのは?」
「もうすぐだよ」
「そのもうすぐ、っての…昨日も聞いた気がする」
春日山城を出てから早六日。
馬上の旅はなかなか快適だった。
二人で乗る為の輿を予め積んでくれているから、お尻も痛くない。
乗せて走ってくれているお馬さんは、辛いんだろうけれど…
こんな事ならもっと、乗馬を練習させて貰っておくんだった、と後悔してみるも。
そう言えば何度か頼んでみたけれど、謙信様がいつも馬乗りは駄目だって言うんだっけ…?
ただ黙って従っていたけれど、はて、何故だったっけ。
謙信様に理由を聞いたような聞かなかったような、でももう過ぎたことか、と無理矢理に片付ける。
「今度は本当にもうすぐだから安心して。
恐らく、あと一日もかからない」
よく頑張ってくれた、と佐助くんがお馬さんの額を撫ぜる。
安土城、と言えば現代の滋賀県らしい。
春日山城は、新潟県…300キロは優に超える道のりらしいから、お馬さんには感謝しかない。
佐助くんにお城のことを聞くと、場所だけでなく周辺知識まで…
山のようについてきたのを悪夢のように思い返しながら、過ぎていく景色を眺める。