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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第15章 好きという気持ち


ラケットにボールが当たる音。
誰か有名な人でも来てるのだろうか、コートに入りその姿を見るまでそんなことを思ってた。

「○○さんっ!」

ほら行ってきて、と園子さんが背中を押すようにテニスコートに入って…その人と目があった。

「いらっしゃったんですね、こんにちは」
「透さん…」
「○○も久しぶりです、テニスウエア似合いますね」

…なんでこの人がここにいる。
私の連絡に、全く反応しなかったくせに…なんで、笑顔を向けて私にそんな甘い言葉をかけてくる。

「○○さん、安室さんと喧嘩してたみたいだから小五郎おじ様と話して連れてきちゃいました!」

違う。
…喧嘩じゃない。

「○○?」

そんな目で顔で、私を映さないで。

「あー…やっぱりまだ怒ってますよね」

まるで痴話喧嘩みたいに言わないで。
この場を誤魔化そうとしてるのがわかってるのに、うまく話せなくて。

「○○、テニスできますよね?サーブ練付き合ってもらえますか」

何も言わない私にラケットを渡して、透さんが笑いかける。
久しぶりにみた彼は、…相変わらずで。

「…毛利先輩、あとで覚えててください」

隠していた先輩を睨めば、蘭さんの後ろに視線から逃げるように隠れた。


サーブの音が響く。
ガットとボールがぶつかる音。
懐かしい。
サーブの練習、のはずだったそれをお互い打ち返して。
気づけばまたギャラリーが多くなっていた。

「○○、相変わらず負けず嫌いですね」
「…貴方こそ」

プロ顔負けのサーブを決めた貴方に言われたくない。
…相変わらずな零の攻撃パターンに、本当に目の前にいる人が零なんだなって思う。

「安室さんも○○さんもすごーい!!」
「プロみたい!」
「いやぁ、中学の時以来ですからお恥ずかしい!」
「…透さんが上手いだけですよ」

久しぶりにムキになった、とラケットのグリップを握っては緩めて、その感覚を確かめる。

「ジュニアの大会で優勝したらしいってポアロの店長からきいて驚いたよ!」
「まぁその直後に肩を痛めて、サーブも数は打てないんですけど」

嘘つき。
肩を痛めてるなんて嘘だ、と透さんの背中をみて。
触れたい、と思ってしまう自分がいて。
胸が苦しくなる。


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