【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第14章 会いたい※微裏
気配がする。
誰かに追われている気配。
振り返ると止まる。
助けて、と思い浮かべるのは連絡のとれない彼。
「れい…れいっ…」
それでも電話をかけてしまうのは、期待からだろうか。
零の電話はコールのみで留守電にもならなくて。ずっとそうだ、ここ数日。
あの日からずっと…
こんなことなら沖矢さんに送ってもらうべきだったと己の判断を悔やんだ。
国道沿いにたどり着けばタクシーに乗り込もう、そう考えて…小走りになる。後ろの気配も、それに合わせて速くなる。
近づきすぎないけれど、気配は感じる距離。
何度振り返っても誰もいない。
タクシーを捕まえて乗り込めば、自分の体が震えていることに気づいた。
何度かけても、零も透さんも電話にでることはなかった。
…会いたい、会いたいのに。
気のせいだと、考えすぎだと、笑って抱きしめてくれればもう怖いものなんてない。
家に着いて暗い部屋。
部屋中の電気を点けて、ベッドに入った。
零に会いたい。
せめて、一言だけでいい。
連絡が欲しい。
それは我儘なのだろうか?
『安室さんの情報が欲しい』
コナンくんの声が、ふと過ぎる。
…私に渡せる情報なんて、きっと君ならすぐ辿り着けるんだよ、と自嘲するように笑った。
夢を見た。
あの時の、温かい夢。
警察学校時代。
みんながいた、優しい夢。
その夢のおかげか、寝る前の気分はどこへやら。目覚めはとても穏やかな気分になれた。
単純、と自分に笑ってしまい朝食を作りにキッチンへ立った。
零に会いたい。
寝ても覚めてもそう思って、あげくに夢の中くらいは幸せな夢に浸ってる。
昨日、私は初めて零以外の人と肉体関係を持った。
どちらも達することはなく、ただ繋がった関係。
…私が襲ったようなものだしな、とぼんやり謝罪したい気持ちが湧いてくる。
機会を作ってきちんとお詫びしよう。
零以外の人を考えるのは、少しだけ気持ちが楽になった。
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