【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第11章 その真意※裏
珍しく零より先に目が覚めた。
抱きしめる腕が寝る前より強くなってる。
…少しだけ顔色良くなっているように見えて、安心した。
どうしてここに来たの?なんて寝ている零に起こさないようにそっと口付けて。
…嘘みたいに優しい時間。
朝食の用意をしに抜け出そうとすれば、その腕は外さなくて。
下手な拘束具より抜けられないな、なんてぼんやり思って…
昨夜そのまま寝てるからか少し汗臭い零の匂い。
らしくないなぁなんて思いながら触れると起こすかななんて。
「…ぁ、…ここ、どこだ」
「おはよう、零」
寝起きの掠れた声に、私を見て驚いたように体を起こして。
「徹夜?…夜中に来て、驚いた」
「…あぁ、…えっと」
戸惑っている零に、小さく笑って。
「…悪い、すぐ出なきゃ」
そうだろうと思った、なんて。
「うん、わかった」
あっさりと頷いた私に、拍子抜けした零が…私に触れる。
ちゃんと笑えてるかな。
「…○○…?」
「ごめん、…今は触らないで」
胸が熱くなる。目頭が、熱くなって。
零の前では弱くて弱くて。
零の腕が私を抱きしめた。
そっと寝かされて、泣き続ける私にキスをして、零の顔が涙で滲んで見えなかった。
「…二時間。二時間で戻る」
「戻ってこなくて、いいっ…」
泣きながら嫌だ嫌だと首を振って。
寝ぼけていた零に会いたかったと言われて私は幸せだったのに。
目覚めた零は、私からすぐ離れる。
それならずっと夢の中にいたい。
零に手首を押さえつけられて乱暴に口付ける。
「○○、…二時間で戻る」
唇が離れて、もう一度言い聞かすように口調で零が言えば…私は頷くことしかできなかった。
零が部屋からいなくなれば、虚しさだけが残って。
涙が止まらなかった。
二時間、そんな約束零が守れるわけがないと。
これ以上振り回されたくない、その一心で部屋の鍵とチェーンロックをかけ盗聴器を外した。
今はただ、零から逃れたかった。
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