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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第11章 その真意※裏



来週、と言ったのに。
その週は金曜を迎え明日は土曜。
もう終わってしまう週に、約束なんてするんじゃなかったと一人部屋で笑ってしまった。

安室さんもポアロに来ていない。
連絡の返信もない。

盗聴器で聞いているなら、今すぐ会いに来て欲しい。
そんなことすら考える。
今の私の立場では、零に何かあった時に教えてもらうこともないのだろう。
だからいつか彼は…また私の前からいなくなる気がする。
零のことになると全ての自信はなくなる。
いや、それが今の事実だから。現実だから…だから尚更、悲しいのだ。
バーボンをグラスに注ぎ、煽るように飲み干した。

深夜。
飲みかけのまま寝ていたらしく、ため息をついた。
こんなことなら再会しなければよかった。
あの時、抱き合わなければ。
深い深いため息がまた溢れた。
ガチャ、と鍵が外れる音に条件反射で顔を上げる。
バタンッ、と盛大な音が玄関からすれば零の倒れこむ姿。

「は!?…零っ!どうしたの」

抱き起こそうとするが体の力が抜けている男性は、とにかく重くて。
怪我をしているわけではない、零の顔色を見ればそれはお世辞にも血色が良いとは言えなくて。
腰を下ろし、零の頭を膝に乗せた。

「…零、もしかして徹夜?」
「あれ……○○か」

なんでここに、と言うけれど零は自分がどこに来たのか分かってないのだろうか。

「立てる?」
「大丈夫」

ふらついたように見えたけれど、それも一瞬で。
とにかく寝室に行って休んでほしくて手を引けば、逆に引き寄せられて抱きしめられた。

「…やっと会えた」

勘違いしそうになる。
疑っていた気持ちも全て泡となって消えてしまえそうな甘い声。

「零、…?」

首筋に当たる息。
静かな息遣い。

「まさか寝てる…?」

立ったまま寝れるとかどんな器用ですか、と口付けた。
眠り姫は目をうっすらと、開けて5分だけと言いながら私を抱きしめてベッドに倒れた。

「…………ねぇ零、勘違いしちゃうよ」

私は零のなに?
貴方は私を…

抱かれてめちゃくちゃにされたい、そう思っていたのに。
零の腕の中で目を瞑る今が…一番心を落ち着かせた。


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