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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第10章 確かめられない想い


そろそろ行きますね、と食事後の珈琲を用意しようと立ち上がった時に透さんから言い出した。

「これから仕事?」
「はい」

行ってきます、と唇にキスをしてきて。
この人は恥ずかしくないのだろうか。そんなことを思いながら、幸せを感じる単純な心に笑ってしまう。

「零…行ってらっしゃい」
「“透”です」

額にキスをされて、どうして二人きりでもそう呼ばせたいのか。
あの日の事務所でしたキスを思い出して悲しくなる。

「うん、行ってらっしゃい透さん」

だけど私は彼の前では笑うしか選択肢がなかった。部屋からなくなったパソコンには零だって気づいたはずだ。零には隠し事をしたくないのに、どうしてこんな気持ちになるのだろう。

「来週のこと、忘れないでね」
「もちろんです」

一度ついた嘘は、流されることもなく重なっていく。定期的に確認する盗聴器の所在は、場所が変わることもなくそして無くなることもなく。
今日もまだ、そこにあった。



翌日。
私に会い事務所へやってきたのはもちろん透さんではなくて、走るように帰ってきたコナンくんだった。

「○○姉ちゃん、お勉強教えて!」

足に抱きついてきて、無邪気を装いながらそれは二人で話したいことがあるという意味だろうか?と察すれば毛利先輩に好きにしろと言われ…毛利先輩のご自宅にお邪魔した。

「…えーっと、どうしたのコナンくん」
「嘘つき」
「透さん、とのことだよね?」

彼にそう言われ思い当たるのは、その事だった。

「○○姉ちゃん、本当は結婚相手いなかったでしょ」

その目はどこか大人びていて…目が逸らさなくなる。

「事務所を辞めようとしたかと思えば今度は安室さんと付き合って…二人は元から知り合いだった?」
「あー……昔、好きだった人に似てるの。最初に言ったでしょ…大事な人に似てるって」

本当は本人だったの、と笑って話してしまいたい。
どこまで話したら、零の邪魔にならずにこの子を…裏切らずに済む?



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