【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第10章 確かめられない想い
抱き潰してほしい。
いっそ、壊してしまうくらい。
そしたら零のことを疑う気持ちも、透さんをみる苦しい気持ちも全部全部消してしまえるのに。
「お待たせしました」
「さすが手際が良い…」
やっぱ良い奥さんになるな、と何度目かのそれに心の中で笑う。
グラタンにオムライス、サラダ。
幸せなセットだなぁと、いただきます、と告げて手を合わせた。
「美味しい…」
「ありがとうございます」
触れたい、透さんに触れていたい。
邪な気持ちと、不安と。
美味しいのに、少しだけしょっぱい味がするのは…泣きそうになっていたからだと気づく。
「何泣きそうな顔されてるんですか」
「…え?」
「すみません、…本当に時間が無くて」
今はこれで許してください、とテーブル越しにキスをして。
「あなたに触れたいのは僕も同じです…お願いですから、誘わないで」
涙が、溢れて来た。
泣きそうな顔していたことに、指摘されるまで気づかなかった。
「我慢するのキツいんですよ?」
何度も触れるキス。
優しい手に頭を撫でられて。
「次の約束ができないのは申し訳ないと思ってます」
そうじゃない。
そうじゃない、と言えたら楽なのだろうか。
「○○…もう、危ないことはしてませんよね」
「最初からそんなことしてない…」
「そうですね……」
危ないことをしたのは零のほうだ。
車をぶつけて車を止めるなんて。
「あの車…どうしたの?」
「修理できるか微妙なので買い直しするか悩んでるところです」
「…フリーの探偵で喫茶店アルバイトさんが買える品物だとは思いませんけどね」
「ところが買えちゃうんですよ」
びっくりですね、なんて冗談を含んで。
「…透さん、コナンくんに見せたってことは隠さないってこと?」
「もともと隠してたのはあなたの辻褄合わせな部分がありましたから」
結婚を取りやめて、すぐに違う男と付き合うのは世間的に良くないと。ただそれだけ。
「隠さずに済むように、“安室透”の恋人にと言ったつもりだったんですけどね」
「はいはい、私が変な嘘ついたからですよね」
カレンダーに丸付けがあるその日を見て、零に話したいことを思い出した。
「来週辺りどこか時間取れる?…伊達さんのお墓参り」
「…早いですね。わかりました、予定確認してまた連絡します」
お願いします、と頷いて笑った。
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