【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第86章 迷い
「でもこれ、…17年も前のことなのに、不自然ですね」
「どこをみてそう思った?」
「……誰かが定期的にネットにアップしてるように見えます。そして、それもいくつか削除されてる。削除されるのも構わずアップするって……誰かに助けを求めてるというか」
誰かこの謎を解いてと言っているみたいで。
「その事件は、俺をFBIに駆り立てた事件だ」
「……赤井さんを?」
でも、17年前って赤井さんはまだ十代半ばじゃ。
「直接関わっていたのは俺の父だ」
「ああ、お父さん!」
赤井さんもベルモットさんみたいに年齢不詳かと思って焦ったのは秘密だ。
「お父さんは、今何をされてるんですか」
「……それは俺の父に挨拶をしたいってことか?」
「はあっ!?」
声が裏返った。
何言ってるんだこの人は。
「冗談だ」
くくっ、と喉を鳴らすように笑う赤井さんに顔が熱くなる。
……なんて、心臓に悪い冗談を言うんだ。
赤井さんが、自分の話をするなんて珍しいし、……嬉しい。
信用してくれてるのだと伝わって、でも、またこれで零に言えない秘密が増えたことにもなるわけで。
「羽田浩二と言えば、羽田秀吉はご存知ですか?」
検索候補にあがっていた名前を話題にあげただけだった。
話をそらそうとしたのに。
「弟に挨拶したいのか?」
「はっ!!?? 弟!?」
「ああ、弟だ」
「だって苗字!!」
「羽田家の養子だからな」
世良さんとも違うのに、……ああ、なんで。
なんでこんなに。
「何人兄弟なんですか」
「三人だ」
「本当ですか」
「いや、五人だったかもしれないな」
「かもってなんですか!!」
また、笑ってる。
赤井さんが笑わない人だとは思ってないけど。
この人の笑顔は……なんか、すごく、照れる。
「さて、雑談はこのくらいにするか」
「雑談というか、赤井さんの謎が広がっただけなんですが」
「君が俺にもっと興味を持ったというのは、俺にとっては有意義な時間だったな」
「~~っ、なんなんですか!!」
私はこれ以上持ちたくない。
……散々からかわれた気もするけど、車が停まって目的地に辿り着いたことに気づく。
シートベルトを外す手を撫でるように触れたその指先に、体がびくりと震えれば車を降りる沖矢さんの口元が上がっていた。
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